それまでのスピーカーは、耳で楽しむスピーカーでした。 その後の発見により、聴き方に大きな変化が生まれたのです。 車用にも欲しくなり、小型のスピーカーを作りました。 大きさは直径13cm高さが50cmくらいです。スピーカーは10cm口径です。 あるとき名古屋の友人と二人で野外ライブに行きました。その道中、鬼太鼓座という和太鼓のグループの太鼓をそのスピーカーで聞いていました。 ふとした拍子に、持って聴いてみると、 「なんじゃこりゃ〜」 「太鼓持ってるみたいだ!」 と車内で大騒ぎ!!耳で聞くよりも断然よく、自分が演奏者になった気分です。 大興奮したままライブ会場に到着いたします。 目にしたのが、会場にある大型のスピーカーです。 黒い箱形で、威圧感のある人の背丈ほどの大きさの業務用スピーカー。 音はあまり良くはありませんでしたが、盛大に鳴っており、 二人は、スピーカーに近づいて、抱きつきます(笑) 「げっ!ちっとも気持ちよくない」 「びりびりするだけで、、むしろ気持ち悪い」 すぐに違うとわかったので、ライブスピーカーから遠く離れ、程よい音量のところの草の上で、裸足で踊っておりました。 あまりにも気持ちよさが違うと衝撃的でした。 どういうことなのか、考えてみました 既存のスピーカーはどれも硬いエンクロージャー(スピーカーボックス・キャビネットとも言われます)にスピーカーユニットを取り付けてお ります。 ←エンクロージャー ←スピーカーユニット スピーカーを大音量にしたとき、箱に触れたらビリビリ震えています。 軽量なラジカセや車で大音量にしたときにプラスチックが震えているのはよく分かりますね。 その震えは触れて気持よくないばかりか、音質を低下させています。 と、いうのも、硬い板がビリビリ揺れているのですから、エンクロージャーが音を出しているのは確かです。 エンクロージャーの説明をウィキペディアで見ると分かるのですが、低音を再生するためにエンクロージャーは欠 かせません。しかし、それが鳴ってしまうと正確な再生の妨げになります。 今までのスピーカーは、このビリビリを無くして異音を出さなくするため、頑丈なエンクロージャーにしたのです。 オーディオショーで、美しい音色のスピーカーを見つけたのですが、そのスピーカーはエンクロージャーが金属合金製で、大変重たく頑丈なものでした。 地球で最も重いのは地球だから、地面に穴を開けてスピーカーを取り付けたという強者までいます。 絨毯のスピーカーはどこが違うのか・・・・ 絨毯は音によってよく振動しています。 絨毯が振動するわけは、スピーカーユニットの振動板の震えが、スピーカーユニットのフレームに伝わり、それが絨毯に伝わったのと、スピーカーユニット裏側 に出た音で共振しているものです。 素材が柔らかいので硬いボックスと比べて、揺れ幅が大きいです。 それだけ揺れていれば、異音の元になるのじゃないかと思う人もいるかもしれません。 ところが、柔らかいものは振動しても音にならないのです。 そうか!人間の喉のような構造なのだ!! 言葉を出している時、喉や体が振動して震えていますが、 どんなに大きな声で歌っても硬いスピーカーのような硬い音(ビビリ音になることもあります)は出てきません。 ソフトエンクロージャースピーカーは この構造を利用した発明だったのです その発見の後に、もっと振動しやすいものはないかなと色々探してみたところ、 毛足のあるラグを円筒形にしてスピーカーにしましたらより振動しました。 そして、そのままのラグでは音を遮断する効果が低く、スピーカーの中の音が逃げやすかったため、絨毯スピーカーよりも軽い音になってしまいました。 そこで、音漏れを無くすため、ラグの裏に厚みのある布を貼りました。 抱っこしてみると、すぐに潰れてしまいますので、中にスポンジをいれました。 これが初期型の抱っこスピーカーです。口径10cmの防水スピーカーを利用しました。 スピーカーケーブルが、こたつで使っている布巻き の線です。 抱っこした時に、ビニールの線が体に触れると冷たいことと、曲げに非常に強いのです。 それを2本作ってステレオ再生しておりました。立てたり、寝かしたり、色々楽しみました。 10cm口径スピーカーと、外部アンプの組み合わせは非常に強力でスピーカーが跳ねるほどです。 危険すぎるほどの振動に体の心配をしてちょっと引いてしまいました。 刺激が強すぎるかも・・・・ それから、透明のやわらかいボディーと照明と竹シェードを利用した光るスピーカー TOMORIを作ることに熱中し始め、しばらく抱っこスピーカーは眠っていました。 平成24年に革巻きのスピーカー「サウンドスクロール」が松山新製品ブランドコンテストで愛媛県知事賞を頂きました。かなりいまどきのスピー カーが生まれたと思いました。 スタイリッシュでコンパクトで音がいいという、iPadなどのタブレットに最も似合うスピーカーだったのです。 発明家の悪い癖が出てきてしまいました・・・・そのままどんどん売りにゆけば いいのに それから次はどんな製品開発をしようと思考がなってしまい、 昔作った抱っこスピーカーを持ちだして人に触れてもらっていたら、 サウンドスクロールよりも人気 が出てきてしまいました。 うちの子が熱が出て、頭が痛いというので静かに鳴らして持たせていたら、気持ちいいと そのまま眠ってしまいました。 娘もお気に入りです。ディジュリドゥの音色はよく響いて胃の痛みがあるときに使うと痛みが和らいだこともあります。 ただそのままでは、スピーカーユニットが裸でむき出しのために壊れやすく、力がありすぎるのが問題だと思うようになりました。 それでも欲しい方が何人もいらっしゃったので、お届けしたところ。不思議なことに、 「あれっ2本だったの?一本だと思ってた!」と2回連続で 言われました。 ステレオは2本という固定概念もなく、一本で大満足していたからでしょう。 「なんだ一本で買ってもらえるのか・・・」 と、自分でも何度か2本胸に挟んで聴いたり、一本を抱っこして、もう一本をそばに置いて、とか前後で挟んでとか色々な聞き方を試しているうちに、 「抱っこするなら一本で充分楽しめる。そのほうが取り回しも楽ちん」 2本ですと、お互いのスピーカーを繋ぐ線に引っかかったり、じゃまになるのですが、 1本ですと中にアンプと電池を入れてしまえば、取り回しが楽になります。 そして自宅に取引先のお客様が来た時、8cm口径のスピーカーで試作してみたところ、ちょうどいい音量と振動具合になったのです。10cm口径の スピーカーと比べてパンチは少ないのですが、重さも軽くなり、振動し過ぎる心配も少なくなりました。 それで今の抱っこスピーカーの形が生まれたのです。 現在の形の抱っこスピーカーです。 娘の体の調子が良くない時に、もたせましたら気持ちいいと言ってます。 その後、誕生日プレゼントに抱っこスピーカーが欲しいとねだられております。 赤ん坊の寝付けにも利用しました。 その後、耳の聴こえない人にも抱っこスピーカーが使えると利用者から聞きました。 2013年10月地元愛媛県の手話通訳士森川さんの協力で聴覚障がいの方に利用してもらいました。 ブログにそのときのことが書いてあります 大変な評判に、音楽の可能性にびっくりしていましたところ、 さらにびっくりする出会いがあったのです。 その翌月抱っこスピーカー作り教室を砥部町のドックカフェアノムラにてしておりました。 スピーカー教室に関係のない一般のお客様もやってきており、そのとき大きな犬連れの方もやってきていました。 普通のカフェなら違和感があるのですが、ドックカフェだからあるんだねって思ってたのです。 スピーカー作り教室を終える頃、そのお客さんが「何をやっているんですか?」 と聞いてきました、今まで聞かれることもあまり無かったのですが、抱っこスピーカーを作っていると言いますと、手話で連れの方に、抱っこするスピーカーだ と説明しているのです。 そのお客様は聴覚が不自由だったのです。 それついての当時のブログです。タイトル「スピーカー教室で奇跡の出会い」 そのろうの渡辺妙子さん、その場でわたしの作った抱っこスピーカーを買って持って帰られました。 その後、耳が聞こえなくても音楽を楽しめるスピーカーとして、神戸を皮切りに聴覚障がいの人にもスピーカー作り教室が広まり始めたのです。
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